2008 茨城大学一日体験化学教室実験概要

実験項目 概要
(1) 食品中のカフェイン量

を調べてみよう

 カフェインは紅茶やコーヒーに含まれる天然アルカロイドであり,呼吸,心臓,中
枢神経系に作用する興奮剤の一種です。カフェインはカフェイン依存症を引き起こす
ことがあり,例えば,紅茶やコーヒー好きな人がしばらくの間飲まない(カフェイン
を摂取しない)でいた場合には,頭がすっきりしなかったり,落ち着かなかったりす
ることがあります。ここでは,食品として緑茶と紅茶を取り上げ,これらにはどのく
らいのカフェインが含まれているのか調べます。
(2) 生物太陽電池の作製
 緑色植物や光合成を行う微生物などの光生物において、光エネルギーを効率良く集め、電気化学エネルギーに変える反応は「反応中心」と呼ばれるタンパ ク質が担っています。この反応中心の働きだけをうまく取り出して光電変換を行う分子デバイスを自分の手で作製するのは今回の生物太陽電池です。この太 陽電池を働かせるためには、さらに電子を運ぶ様々な電荷運搬体(分子)が使 われます。
(3) タンパク質の不思議 タンパク質は多くのアミノ酸がペプチド結合という結合でつながってできているものです。いろいろな化学部品からできているタンパク質は、体の中で、「ものを作ったり」、「きれいにしたり(解毒とかも)」、「調整したり」しています。タンパク質でできている酵素は、いつも身体のチェックと調子を整える働きをする酵素と、必要なときに必要なだけ作られる酵素、そして、危機一髪のとき、レスキューとして作られて働く酵素などたくさん有ります。酵素はアミノ酸だけを部品としているのですが、一般的にタンパク質を構成するアミノ酸は20種類だけです。たった20種類の部品から無限大のしくみをつくりだす酵素は、まさに身体の中のスーパーマシンといえます。そして、酵素は、体の中で働いているだけでなく、洗剤や塗料、嗜好品にも多く使われ、私たちの生活においてもとても重要です。 ここでは、いろいろな薬物と反応し、体の中の仕組みを絶妙にコントロールしている酵素というタンパク質のかたちとしくみについて説明しながら、「タンパク質のふしぎ」に迫ります。
(4) クロマトグラフィーでインクを鑑識する
 クロマトグラフィーは,混合物を分ける最も優れた方法であり,物質を扱うあらゆる分野で使用されています。実験では,ガラス管にシリカゲルを詰めたカラムを作成
し,インクが様々な色の成分に分かれることを観察します。さらに最新の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使って,それぞれの色素成分の吸光/蛍光分析を行
います。これは今日の犯罪捜査や鑑定にも用いられている方法です。
(5) 振ると色が変わる液体をつくろう−界面活性剤の吸着を見る−
 水と油のように互いに混じりあわない2つの液体が、界面活性剤の働きによって、一方が互いの液体の中に微粒子として分散した状態をエマルション(乳濁液)と言います。
エマルションの代表的な例としては、アクリル絵具、木工用ボンドやマヨネーズなどが挙げられます。この実験では、油/水界面に吸着すると色が変わる色素を使って、
振ると青色から緑色、黄色から青色や無色から赤色に変化する溶液を作ります。このような"振る度に色が変わる"という誰にでも簡単にできる興味深い実験によって「吸
着」、「化学平衡とその移動」などの現象と法則を観察、理解します。
(6) 金ナノ粒子の不思議
 皆さんはナノテクノロジー、ナノサイエンスという言葉を聞いた事はありませんか?ナノ○○などとナノがついた言葉はテレビのCMなどでよくみかけると思います。ナノ(n)は単位の前につく接頭語で、10-9を表す略号です。通常ナノだけだと慣例的に大きさ(長さ)の単位のナノメートル(nm)を意味しています。これよりももっと小さな世界は、原子・分子のサイズで、これまで化学者が様々な観点から研究を行って来ました。本テーマではナノメートルサイズの物質にはどんなものがあるのかどんな性質をもつのか簡単に紹介し、金ナノ粒子の模型の作製や実際に金ナノ粒子を合成してもらいます。金ナノ粒子はどんな色をしているのでしょう?
(7) アスピリンをつくろう
薬の王様アスピリン。痛くなったらアスピリン。エコノミー症候群にも効くアスピリ ン。
このアスピリン(アセチルサリチル酸)をサリチル酸を原料に合成してみます。そし て再結晶操作をおこなってきれいな結晶を得ます。
最後に出来たアスピリンの純度を調べてみます。
時間があったらサリチル酸メチル(サロメチール)も作ってみます。
(8) エステルの香学
 私たちの身のまわりにある洗剤や入浴剤、スナック菓子や化粧品にいたるまで、多く のものが香りをもっています。私たちはこのような香りを生活のあらゆる場面で利用 しています。しかしながら、自然界から得られる香料(精油)には限りがあり、人工 的に化学合成されているものが数多くあります。
香りのもとになるのは、数十種類から数百種類にもおよぶ化合物の混合物です。その 化合物の代表的なものにエステルがあります。カルボン酸とアルコールから合成でき るエステルは、もとのカルボン酸やアルコールとは全く異なったとてもよい香りをも ち、新たな機能の発現という化学の不思議がそこにあります。そんな香りの世界を一 緒に体験してみませんか?

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